かつて演劇部にいた泉
大学2年の春、母校の演劇部顧問で、想いを寄せていた葉山先生から電話がかかってきた。
泉は、ときめきとともに、卒業前のある出来事を思い出す。
後輩の舞台の客演を頼まれた泉は、先生への想いを再認識する。
あの日、葉山から告げられた事実。
言葉にできずにしまいこんだ想い。
そして、彼の中にも消せない炎が紛れもなくあることを知った泉は……
叶わぬものと誓った想いと、その裏に秘められた悲しい過去が交錯する、忘れられない恋のものがたり。
感想
気づいたときには恋に落ちていた葉山と泉。
互いを想いながらも、教師と生徒という立場と年齢差という理由から、葉山は泉を遠ざけます。
そしてそこには、泉を遠ざけなければならない過去も。
その過去を赦せずひとりで抱え込む、実直でひたすら不器用な葉山。
その姿はなんとももどかしくもあり、だけどわからなくもなくて、葛藤がひしひしと伝わってきました。
葉山の気持ちがどこにあるのか、なぜ自分が受け入れられないのかわからない泉の気持ちも。
大切だからこそ近づいてはいけない、まるでヤマアラシのジレンマのような苦恋。
ふたりが出した答えが幸せだったのか、そうでなかったのか、読者で意見が分かれるかもしれません。
余談で、本作は映画化されており、劇中では泉を有村架純さんが演じていましたが、私の中では新木優子さんでした。
恋の難しさを知りたい方、哀しい恋をなくした方、思いっきり泣きたい気分の方、ぜひ一読してみてはいかがでしょうか。
こんな人にオススメ
純粋な恋愛作品が読みたい!
叶わぬ恋の作品が読みたい!


