日本一の横綱が残したもの

ちょっといい話

白鵬翔 国籍︰日本
生涯勝星は1187勝、そして幕内の優勝回数はなんと45回!

そんな誰もが認める “日本一” の大横綱だった白鵬が、先日、日本の相撲界を去ることを決めました。

あんなに華やかだった現役中も、そして後進の育成に取り組んでいた宮城野部屋の親方だったときも、ずーっと孤独だった相撲人生。

ケガの痛みに耐えて優勝した、元横綱の貴乃花に憧れ、

あんな強い力士になりたい
あんな愛される力士になりたい
そして、何よりも日本人に愛されたい

そう強く願う日々。

当時、その負けん気と圧倒的な強さから、土俵の上で荒ぶる横綱の朝青龍に対し、冷静沈着、穏やかながら秘めた闘志で真っ向からぶつかる、横綱の白鵬。

それはさながら正義のヒーローのようで、みんながテレビの前で白鵬を応援してものでした。

だけど……

当時大関だった稀勢の里の横綱昇進をかけた一番。
場内は “日本人横綱” を期待する大声援で包まれます。

真剣勝負、待ったなし。

結果は、横綱白鵬の圧勝で横綱の意地と貫禄を見せつけた一番となりました。
しかし取組後、勝った白鵬には会場から大ブーイングが!?

場内の殆どが、”日本人横綱”を期待して集まった人たちでした。

そのころから、白鵬の中で葛藤が始まります。
”結局、モンゴル人の自分は日本人力士と同じようには愛されないのか……”

その後も、日本人力士と優勝を争うたび苦悩する日々。
「横綱は勝ち続けなければならない」
「しかし、勝てば日本人の心が離れていく」
「自分はホントに勝っても良いのだろうか?」

大鵬の最多優勝回数を更新するときも
「モンゴル人の自分が越えて良いのか?」

その頃からでしょうか、白鵬への世間の風当たりが冷たくなります。

横綱の品格かないと批判され、勝ちに徹する相撲は醜いと叩かれる。

それでも白鵬自身は何も変わることなく、相撲を心から愛し、日本人に愛されたいと願い続け、やがて親方になるべく日本国籍を取得し、そして未来の子どもたちのために白鵬杯を開催します。

誰よりも相撲を愛し、横綱の品格を証明しようと、独り戦い続けた白鵬。

その生き様が好きだった私にとって、去るという話は大きな喪失感となって胸に残りました。

伝統を重んじ、守り続けること
変えられるものと、変えられないもの
変えていいものと、変えてはいけないもの

守り続けるとき、
変えるとき、変えないとき、
それによって失われるものがあるということ

日本人の私にそれを教えてくれた白鵬には、これからも輝き続けていてほしいと願うばかりです。

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