「読書」というワードを聞いて、みなさんはどんなことを想像しますか?
小説、自己啓発、絵本や週刊誌、夜ふかし、読書感想文、通勤時間、図書館、古本……
少し考えてみただけでも、容易にたくさんの言葉が連想できるのではないかと思います。
つまり読書は、それくらい私たちにとって身近なものであると言えます。
でも、読書が得意ではない人にとっては、ちょっとめんどくさいというのが本音。
活字を見るだけで眠くなったり、読んでいても中身が入ってこなかったり。
本なんて、読まないで良いのなら読みたくない、という心の声が聞こえてきそうです。
ですが、その「読書」という行為にたくさんのメリットがあると知ったらどうでしょう?
読書するだけで◯◯、たくさん本を読んでいる人のほうが◯◯、と知って、それでも読書するのを迷いますか?
イギリスのサセックス大学研究チームにより、次のような研究結果が示されています。
たった6分間の読書でストレスの68%が軽減する
一日のストレスが、たった6分の読書で約7割も軽減される!?
え!?、たったの6分間でいいの?
それなら、ちょっとしたスキマ時間でもできそう。
そう思いますよね。
このように、1日に数分だけでも本を開いて、作品の中に意識を集中(作品に没入)することにより、日常の雑念を遮断して思考を切り替える(リフレッシュする)ことができます。
そして、この読書を継続することにより、様々な健康上の効果も期待されているんです。
しかし、読書にどれだけたくさんのメリットが有るかなんて、意外と知られていないのも事実です。
というわけで、ここではそんな読書の魅力(いいところ)をお伝えしていきます。
知っててよかった 読書の効果
ストレスの軽減に繋がる
こんな経験をしたことはありませんか?
読むことに没入すると、文章の続きをじっと目で追い続け、いつの間にか周りの音が聞こえなくなる。
そしてその間は、抱えていた不安や悩みなどのストレスが頭から離れていたのに、読むのを止めるとまたストレスが蘇ってくる。
読書をすると、脳のさまざまな機能が活性化されます。
作品により深く没入することで、「考える」「記憶する」「アイデアを出す」「感情をコントロールする」「判断する」「応用する」など、人間にとって重要な働きを担っている「前頭前野」が活性化され、セロトニンやエンドルフィンといったホルモンが増えます。

セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれていて、精神の安定や安心感を与え、心身をリラックスさせる働きがあります。
エンドルフィンは「脳内麻薬」とも呼ばれていて、気分の高揚や幸福感、鎮痛作用などストレスを軽減させる働きがあります。
つまり、読書には自然な鎮痛剤や抗うつ剤としての効果が期待されるということです。
また、過労やストレスにより、過度に自律神経が活動すると、大量の「活性酸素」が発生します。ふだん私たちが感じる疲労感ですが、 この活性酸素による酸化ストレスにより生じると言われています。
この、酸化ストレスを軽減する「抗酸化作用」があるものとして、「イミダゾールジペプチド(イミダペプチド)」という成分が知られており、疲労回復に効果的と言われています。
イミダペプチドは、例えば鳥の胸肉に含まれており、渡り鳥が休まずに何千キロも飛ぶことができるのは、このイミダペプチドが豊富にあるからだと言われています。
このため、読書といっしょにイミダペプチドを摂ることにより、疲労やストレス軽減の相乗効果が期待され、仕事や趣味に対する意欲向上に繋がることが考えられます。
もし、いま抱えているストレスがとても大きいものだったら、読書といっしょにイミダペプチドも上手に取り入れ、より効果的にストレス軽減を図ることをおすすめします。
所得の向上が期待できる
さらに、日常に読書を取り入れることは、所得の向上に繋がることも期待されます。
アメリカの「Business Management degree」に、ビル・ゲイツのような大富豪を含む富裕層と、年収300万円以下のビジネスパーソンの読書量を調べた研究データが掲載されています。

それによると、1日30分以上ビジネス書などを読んでいる人の割合が、富裕層が88%であったのに対し、年収300万円以下の人はわずか2%でした。
また、富裕層の63%は移動中にオーディオブックを視聴するなど、読書家が多いことが示されました。

さらに、日本のマイナビ調査によると、月に3冊以上の本を読む人の割合は、世帯年収が多いほど高い傾向にありました。
本を読むには想像力が求められますし、そこから新しいビジネスの知識や情報が得られたり、横のつながりが生まれたりする可能性だってあります。
読んだ本の知識や情報は決してムダにはなりません。
あなた自身にとって間違いなく意味のあるものになります。
認知機能の低下を抑える
ある程度の年齢になると現れてくるのが認知機能の低下。
これを予防するために、ウォーキングなどの軽い運動を取り入れる話をよく耳にします。ですが、運動だけだと天気の悪い日、体調がすぐれない日など、継続するにはさまざまな要因をクリアしなければなりません。

そこで、認知機能の低下を防ぐためにオススメしたいのが読書です。
読書であれば、特段準備するものはありませんし、好きな時間・タイミングで、天気に左右されることなく手軽に始めることができます。
前述したように、読書をすると脳が活性化され、幸せホルモンが増えます。
さらに、より深く作品に没入することで、風景や人物像、匂いを想像するなど、映像とは違う脳の活性化も期待できます。
刺激の少ない日常生活の繰り返しでは、どうしても認知機能が衰えがちですが、読書をすることでその都度、いろんな想像を働かせ、脳を活性化することができるのです。
早めの認知症予防のためにも、読書を始めてみましょう。
死亡のリスクを低減させる
『ソーシャル・サイエンス&メディスン誌』に、「読書と長生きの関連性」という論文が掲載されています。
これは、米イエール大学の疫学・公衆衛生研究室が「本を読むことに健康効果があるのか」という素朴な疑問から調査を行ったものです。

調査では、50歳以上の対象者を「読書する人」と「読書しない人」のグループに分け、生存率が8割に低下するまでにどれだけ期間を要するか比較しました。
その結果、「読書する人」は調査開始から108か月要したのに対し、「読書しない人」が要したのは85か月で、「読書する人」の方が23か月(約2年)長生きすることが示されました。
また、同じ調査対象者を読書時間で比較した結果、1週間に最大で3時間半の「読書する人」は、「読書しない人」と比べて、その後の12年間で死亡率が17%も低くなることが示されました。
さらに、1週間に3時間半以上の「読書する人」になると、その後の12年間で23%も死亡率が低いことが示されました。
読書には認知機能を高めるだけではなく、ストレス軽減や幸福度の向上などさまざまな効果が相乗的に期待できることから、死亡率を低減させていることが考えられます。
まとめ
以上から、読書には次のような効果が期待できます。
<まとめ>
・幸せホルモン増加によるストレスの軽減
・知識や情報の増加による所得の向上
・想像による脳の活性化で認知機能が低下
→死亡リスクの低減(長生き)