『きりこについて』西加奈子 著

ファンタジー作品
小学校の体育館裏で、きりこが見つけた黒猫ラムセス2世はとても賢くて、大きくなるにつれて人の言葉を覚えていった。

両親の愛情を浴びて育ったきりこだったけれど、5年生の時、好きな男の子に「ぶす」と言われ、強いショックを受ける。

悩んで引きこもる日々。
やがて、きりこはラムセス2世に励まされ、外に出る決心をする。

”楽しいってどういうこと?"
”生きるってつらいいこと?”


きりこが見つけた世の中でいちばん大切なこととは?
猫を愛するすべての人に捧げる、希望に満ちた物語。

感想

本作は両親の愛情たっぷりに育ったピュアなきりこが、きりこの愛情たっぷりに育った猫のラムセス2世と、いろんな体験をとおして、大切なことを見つけ出すという、とてもあたたかい作品です。

かわいい表紙とかわいい設定で、軽い気持ちで読み始めた1冊でしたが、とにかくめちゃんこ深かったです。
両親から、毎日のようにかわいいかわいいと言われ続けて大きくなったきりこ。
当然のごとく、自分のことは世界一かわいいと信じてたのに、ある日初恋相手からの”ぶす”認定で、奈落の底に落ちていきます。

“ぶす”という概念に取り憑かれ、振り回されるきりこ。
部屋に引きこもり、誰とも会う気になれず、ただただ塞ぎ込み続けるきりこでしたが、それを救ってくれたのは作中でキーパーソン?となる猫のラムセス2世でした。

ラムセス2世の声をとおして大切な友だちの叫びを聞き、立ち上がるきりこ。
その姿はとてもたくましく、行動力に満ち溢れ、終盤にかけてみるみると成長していくのでした。

また、猫はとても賢く、猫界のネットワークはとても広いこともわかりました!

西加奈子さんの作品の中でも読みやすい本作、子供心を忘れてしまった方、ぜひ一読してみてはいかがでしょうか。

こんな人にオススメ

主人公が逞しく成長する優しい作品が読みたい!
自分らしく生きることに迷っている

クリックで応援お願いします。
目次
タイトルとURLをコピーしました