親譲りの財産で、無為徒食の生活をしている島村は、雪深い温泉町で芸者駒子と出会う。
島村は許婚者の療養費を作るために芸者になったという、駒子の一途な生き方に惹かれながらも、ゆきずりの愛以上のつながりを持とうとしない。
”国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。”
冷たいほどにすんだ島村の心の鏡に映される駒子の烈しい情熱を、悲しくも美しく描く、川端康成の美質が完全な開花を見せた不朽の名作。
感想
本作は言わずとしれた、川端文学の不朽の名作です。
自由気ままに暮らしている島村が、雪深い温泉宿で出会った芸者の駒子。
喜怒哀楽の感情表現がはっきりしていて、どこまでも純真無垢な駒子の一途さは、読み進めていくほどかわいらしくて仕方ないです。
一方の島村はというと、旅先での人間関係になるべく深入りしないように、のらりくらり。
終始つかみどころがなくて、自由奔放さが十分なくらいに伝わってきます。
どうにかして島村の気を引こうと、あの手この手で押したり引いたりする駒子。
駒子のことが気になって、思わせぶりな態度を取りつつもはっきりと要領を得ない島村。
読み勧めていくうちに、島村が嫌いになりそう。。。でしたが、その一方で駒子の健気さとそれを引き出す島村の魅力が気になって仕方ありませんでした笑
川端康成の魅力を探りたい方、駒子の純粋無垢な姿が気になる方、ぜひ一読してみてはいかがでしょうか。
こんな人にオススメ
素朴な田舎で繰り広げられる純愛を感じたい!
川端康成の世界観に触れてみたい!


