7年前、25歳で死んでしまった一樹。
遺された嫁・テツコと今も暮らす一樹の父・ギフが、テツコの恋人・岩井さんや一樹の幼馴染など、周囲の人物と関わりながらゆるゆるとその死を受け入れていく感動作。
本屋大賞第二位&山本周五郎賞にもノミネートされた、人気夫婦脚本家による初の小説。
感想
本作は、あまりにも突然の夫の死を受け入れきれていない嫁とその義理の父が、周囲の人との交流や、亡くなった夫の思い出、知人と関わり合いながら、少しずつ現実を受け止めていく感動作です。
前半の、のほほ~んとしたテツコとギフの生活は、ホントにごく普通。
ごくありふれた日常生活を、のんびりとした描写で描いています。
ですが、中盤くらいから登場してくる様々な個性的な登場人物が、少しずつ亡き夫の一樹への想いを語っていき、そのあたりからちょっとしんみりと。
旅立ってしまった夫の一樹。
それに対し、勝ち気で弱さを見せない嫁のテツコと、口下手で不器用なギフ。
この二人は、一樹の死を受け入れきれてなく、どこか現実離れしたものと感じていますが、終盤にかけてそれを受け入れると同時に、それぞれが仕舞い込んでいた想いが溢れ出し・・・・・・。
いつか私自身が大切な人を亡くしたとき、いったいどんな風に気持ちを整理するのか。
取り乱さず、思い病まず、日常を変わらず続けられるのだろうか。
結末で語られるこれがテツコなりの、そしてギフなりの一樹への想いの形なら、二人はとてもたくましいと思いました。
大切な何かをなくし、心の整理に迷っている方、ぜひ一読してみてはいかがでしょうか。
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