『間宵の母』歌野晶午 著

小学三年生の詩穂と紗江子は親友同士だったが、紗江子の母の再婚相手である義父と詩穂の母が失踪、駆け落ちと見られていた。

その日から、紗江子の母の精神状態は普通ではなくなる。
詩穂も父親からDVを受けるようになり、児童養護施設に入れられてしまう。

その後、二人は地獄のような人生を送ることになるのだが、実は驚くべき真実が隠されていた。

己代子さんは町じゅうの電柱という電柱に尋ね人のポスターを貼りました

”得体のしれない恐怖が襲う、究極のヒトコワ作品”

感想

本作は、親友同士だった二人の少女をとりまく、驚愕のヒトコワ作品です。

小学校3年生の詩穂と紗江子はとても仲良しの親友同士。
紗江子のお母さんは再婚ですが、相手は容姿端麗、若くてかっこいい夢ノ丞という男性で、近所でも評判、保護者参観でも注目のまとで、お母さんは当然のごとくベタ惚れです。

ですがある日、夢ノ丞はあろうことか親友の詩穂のお母さんと駆け落ちをしてしまいます。

狂ったように取り乱す紗江子の母。
詩穂との関係も当然のごとく木っ端微塵、子供心なんてお構いなしに攻撃が始まります。

そこから怒涛のようにふたりの人生は転落の一途をたどり……
絶望の先にたどり着いた真実は、あまりにも予想だにしないものでした。

一見、何の変哲もない穏やかな家庭や家族、人でも、ひとたびその仮面が剥がれてしまうと、その下にはどろどろした醜いものが隠れているのかもしれません。
安易に誰かを信じることも、もしかしたら気をつけないといけないのではないかと思いました。

ところで、みなさんの穏やかなご近所さん、仲のいいママ友、果たしてそれは本当にそうでしょうか?

究極のヒトコワ作品を探している方、ぜひ、一読してみてはいかがでしょうか?

おすすめポイント

作品の冒頭(抜粋)

紗江子ちゃんのおとうさんは、昔、ジャニーズだったんだよ!
愛称はユメドノ!
ダンスのレッスンで前十字靭帯を断裂してしまって泣く泣く引退したんだって!

ふわっと耳にかぶった髪、カールした睫毛と潤んだ茶色の瞳、細長く締まった鼻、髭のないつるんとした口元、笑うと右にだけできるえくぼ、行儀よく並んだ目映い歯、すらりと伸びた手足を包むのは白地に花柄のシャツとタイトなパンツ、という王子様のような見た目に加え、間宵由夢之丞という芸名のような本名から、そういう妄想がかきたてられたのでしょう。

学校中に広まった噂は結局ウソネタでしたが、そうとわかっても、紗江子ちゃんパパの人気が落ちることはありませんでした。

保護者参観授業で夢之丞さんが教室に入ってくると、おかあさんたちの口元はゆるみ、頬にぽおっと朱が差します。

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